突発性難聴の発症から治療まで。
はじめに
僕は医者ではありませんが、過去に何回か突発性難聴を発症したことがあって、それが何回か治った経験があります。何度も発症するので、半分常習化しているのかもしれません。治すのが難しいと言われている病気なので、僕自身落ち込んでいたのですが、治るとわかると希望が見えます。そういった体験からの個人的な克服、治療法、というかまず、治る病気だと言うことを少しでも落ち込んでいる人に伝えようと思いこれを書こうと思います。
発症
治療が難しいとされる突発性難聴。僕は現在51歳で、以前30歳ぐらいの時に1回、2022年の今年51歳の時に1回の合計2回経験しました。ただこれは主だった発症に限った話で、小さいものはさらに数回経験していると思います。ある意味突発性難聴慣れしていると言えるかも。最初の発症当時は、1回発症すると2回目はない、という話も聞いたことがありますが、そんなルールは特に無いようです。
最初に発症した時は大袈裟でなく、絶望してしまいました。音楽を聴いたり楽器を演奏するのが好きなこともあり、突発性難聴の特徴である左右の耳で聞こえる音程が異なることや、音が耳の中で反響する感じ、詰まった様な感じ、自分の声や外部の音が耳の中で違った様に聞こえる、ハモって聞こえる等様々な症状に嫌気がさします。電話機の時報を左右の耳で聴き比べてその音程の差を感じ、その度に落ち込んだものでした。これはインターネットの情報で知った症状の確認方法です。後ほど書きますが、こういった様々な情報を自分に入れることでさらに症状の深みに入っていったのかもしれません。
ステロイド点滴の効果
最初に発症したときの話ですが、疲れたときに時々出てくる耳鳴りが、いつもとは違い、なかなか収まってくれませんでした。最初はそれでも何日かすれば治るだろう、程度に考えていました。しかし数日経っても収まらず、仕事中には会話の相手の声が右耳に響いて、二重に聞こえたり、自分の声までもが反響する様になってきたところで、初めてこれはおかしいということで、これは少しうろ覚えですが先にネットの情報を見たのか、もしくは先に病院に行ったのか、とにかく近くの耳鼻科に行き、やっと突発性難聴という診断をされました。元来のんびりな性格が災い?したのかもしれません。当時の情報では、今もそうなのかもしれませんがとにかく初動が大事らしく、1週間以内に治療を始めないと症状が一生定着してしまう、的な事を医者かネット情報かで得て、初動が遅かったことを当時後悔した記憶があります。耳鼻科へ行った時点で3〜4日ぐらい経過していたと思います。その後、その耳鼻科では治療が出来ないといわれ、大きな病院を紹介してもらいました。ここでは治療ができるといいます。早速なるべく早くその大きな病院に行き、診断治療を開始しました。この時点でちょうど発症から1週間だったと思います。
治療法はこれもネットで事前に調べていた通り、ステロイドを点滴する、というものです。これは確か何週間かの間、基本的に毎日行った記憶があります。病院に午前中行き、昼前まで小一時間ほど点滴をして午後から仕事へ、という日課になりました。ただこれも結果から言うと特に改善は見られず、数週間経った時点で自然治癒を待つ、ということになりました。症状は特に完全されず、相変わらず声が二重に聴こえ、耳鳴りが常時聴こえ、何とも気持ち悪い日常が続きます。大きな病院の精密検査の結果では、右耳の低音が聴こえにくくなっているとの事。言われてみれば確かに……という感じです。
体の平衡感覚、精神の平衡。右耳の低音難聴による聴こえ方の左右バランス
メニエール病という病気も似た症状があるとの事。こちらは耳鳴りや反響があることに加え、体の平衡感覚に影響がある、めまいやふらつきの症状も出るらしいです。私は医者ではないのであまりいい加減なことは言えないですが、今から考えるとこの低音域の難聴によって周囲の音の反響の感じ方にズレが生じ、バランスを崩すことにつながっているのでは?と推測しています。実際、私もたまに耳鳴りがしているときにふらついたりしますが、なんとなく周囲の音の感じ方のズレが体のバランスのズレに影響している様な感じがするのです。あくまで感じですが…… ですので、メニエール病というのは突発性難聴の延長線上にあるものなのではないかと勝手に推測しています。
病気を治す=病気を忘れる。
現在ではこの病気の決定的な治療法がない、というのは少し前にも書いたかもしれませんが、発症して色々と自分の病気と向き合ってしまうと、なかなか気持ちを上向きにできない面があります。ポジティブ志向が難しくなると言うか、なんと言っても病気を治す方法がないと言われると、この耳鳴りと一生付き合っていかなければならないのか、とか音楽を聴いたり演奏したりすることに対して酷く避けてしまったり、騒音性難聴のような症状が出ているときは人と会話するときに聴こえにくいので、大勢の集まる会合や飲み会等は参加したくなくなります。聞き返すことが増え、それも面倒になってくるとちゃんと聴こえてないのにもかかわらず適当に返事をすることが増えたり…… 問題が結構多くなってきます。なんとか治す方法はないものか?病院では結局ステロイドの点滴のみなので、これが特に効果がないとなると、勝手に一人でインターネットの情報、当時は2ちゃんねるにはこの病気のスレッドがあり、常時覗いていました。なにか良い情報はないかな?ということでいくつか当時得た情報を書いてみると、
- ストレス性のものはストレスを解消する
- ウイルス性のものはウイルスを撲滅?する
- 耳周辺の血行をよくする
- チンゲン菜が効く
他にもあったかもしれませんが、思い出したらまた書いてみます。原因が特定されていないのでウイルスや心因性等あまり関連性がないものとなっています。私がよく試したのは血行をよくする、と言うことで例えば風呂の湯船に頭まで全部浸かって、または耳の部分だけ湯船につけてしばらくリラックスするというもの。あとはサウナに頻繁に出かけて汗をかき、血行がよくなった感じになる。という地味なものです。チンゲン菜もよく料理に入れてもらいました。あまり多く食べるものではないので量が多いと少し辛かったですが、基本的にはおいしく、試してみる価値はあると…… とにかく藁にもすがる気持ちなんですよね。とにかく治したい。上記の様な方法を試したあと、すごく静かな場所に行って、耳鳴りが聞こえるかどうか、効果があったかどうかを試す。こういうことを繰り返していました。この間はなるべく耳への負担を軽くするためにヘッドホンやイヤホンを使っていませんでした。大音量も避け、演奏会にどうしてもいかなければならない時は演者に失礼だとおもいつつ、耳栓をしていました。というか今でもこの耳栓は行っています。耳栓をしていても演奏は聞こえるのです。私の耳にはちょうどいいぐらいのボリュームで。突発性難聴の症状とは関係ないとは思いますが、あまりに大きい音量を聞くと右耳の鼓膜が震えてビリビリ音を立てる感覚があり、これは昔からのものなんです。
そう言うわけでいくつかの治療法(?)を試したのですがやはり効果的なものはない。そうこうしているうちに何年か経ちました。5年ぐらい経って、ふと思い出してみると、まあ、まだ耳鳴りをしているな、そういう確認は時々ですが行っていた記憶があります。さらに何年か経ち、治療法も効かないのがなんとなくわかり、どこか諦めていたのでしょうが、これとは一生付き合っていかないとダメなんだろうなと心のどこか遠くで思っていただけの存在になっていたのかもしれません。ある時、10数年以上経ってからふと気がつくと、耳鳴りもなにもなく、全くの静寂が聞こえていた(?)ことに気がつきました。これも心のどこかで、キミ、耳鳴りがなくなっているよ!と囁いていた事にどこか気がついていたのかもしれません。改めてその事実を認識すると、晴々とした気持ちになりました。もちろん嬉しさもありましたが、なんとなく安らいだ気持ちというか、そちらの方が強かった記憶があります。音楽も自然と聞けますし、ハモリもない。ただ、低音性の難聴は残っている感じがします。この「感じ」というのは、本当に感触、雰囲気という意味で、再度大きな病院で精密な検査をすれば明らかになるのでしょうが、例えば毎年会社で行っている健康診断等での簡易的な(?)聴力検査では全く異常はなしです。ここで精密検査をしにいっても良いのでしょうけど、ここは僕の言いたいところで、病気を忘れる、遠ざかる、積極的に踏み込んでいかない、というスタンスをとる事で症状が改善するのではないかと思ったんです。
病気から距離をおく
少し前にも書きましたけど、突発性難聴の症状は非常に精神的にダメージが大きいものです。将来への不安や日常生活に出てくる影響、ちょっとしたきっかけでその症状を自覚してしまい、少しずつメンタルを削られていきます。仮に突発性難聴の原因の多くを占めるものが精神的な負担から来るものだとすると、症状が出る→メンタルが削られる→抵抗力が下がって症状が出る→メンタルが削られるのループにハマっている形です。ループから抜け出すにはどうすればいいか? 一つは病気を忘れる事です。僕が最初突発性難聴の診断をされたとき、自ら積極的に病気の情報を調べ、治療法をあれこれ試し、試してはその効果はどうだったかをチェックし、その結果に落胆し、絶望を味わうということを繰り返していました。これでは自分からストレスの沼にはまり込んでいっているという事じゃないか? 今ではそう思います。世間では難病だ、治らないかもしれない、初動が肝心で、それが遅くなると症状が定着するらしい、一生付き合う病気だ、そういった情報がネットに溢れていて、病院へ行くとまさにそれに近いことを言われる、それはまあ、医者がいうのだから本当なんでしょうけども、そこはわからないことが多い病気。原因も様々なことが言われている。その言われている原因の一つには、ストレスがある。ストレスってのは突発性難聴以外にも色々な病気の原因になっているし、病気界では原因をカバーしている範囲がなんか非常に広い、言ってしまえば都合のいい原因でもある。でも、結局多くの病気の原因となっているのなら、それを改善しないといけません。
突発性難聴というのはこのストレスループに非情に陥りやすい病気だと思う。先ほど例に出した僕のようなループにハマっている人は結構多いんじゃないかなと予想してます。実際には症状が常に意識している日常にいつもついて回る症状ですし、自分の場合を思い返してみると今更ながら思うのは、完全に精神的に参っている時に発症しています。初回はプライベートのことでかなり思い詰めていたし、今回50歳を超えて発症したときも仕事やプライベートで忙しさや将来の不安、人間関係等で一気にプレッシャーが重なったタイミングでの発症でした。現在は少し落ち着いてきたのですが、プレッシャーの波が来るたびに、少し遅れて発症のタイミングがくる。病気のことを忘れていても、病気以外からくるストレスが発症にリンクしているのが客観的にみると明らかです。つまり、私の場合はストレスを解消すれば治る、と言うパターンなのです。
ストレス発散、解消
ストレスの溜め込み方は人それぞれだと思いますが、突発性難聴を発症する人は結構それを溜め込みやすい性格の人が多いのではないでしょうか。あまり思ったことを口には出さず、自己表現が控えめで、どちらかというと大人しい人。また一方で、仕事等で聴覚に音圧のストレスをかけている人。日常的に聴覚を酷使していると、例えばストレスや疲れで体の抵抗力が落ちた時に真っ先に聴覚からシグナルが出てきます。ちなみに私の場合、最初のシグナルは短期的な耳鳴りです。急に右耳がそこそこのボリュームで「ボワーーー……ン」となり出して、10秒ぐらいで減衰して無くなる。これがシグナルです。これが出ると危険信号、何らかの対策を取らなければその後に突発性難聴が発症する可能性があります。実際これを放っておいて発症したこともあります。こういうシグナルを見落とさないようにしなければなりません。つまり、シグナルはその人のウィークポイントとなっています。ウィークポイントが聴覚に来ている人で、ストレスを抱えやすい性格で、そのストレスを解消する方法がうまく行っていない人。こういう人が発症しやすいのではないでしょうか。これは私の状況とぴったり一致します。ただ、これは逆に考えれば、突発性難聴の原因がストレスの人は、それをうまく解消することで、治るのです。自分の考え方や行動一つの積み重ねで治るのならば、なにも絶望することはありません。いままでループに入っていた人でも、原因と治療法が分かったのなら、それを実行すれば治る。そう思うことができれば、こっちのものです。なにせ、事実、治るのですから。
ストレス解消は2方向から
ストレスを解消すれば治るとわかればあとは実行します。一つは、この突発性難聴の症状からくるストレス。これを解消しましょう。具体的には少し前にも書いた様に、ループにはまらないように、病気とは距離をおき、なるべく忘れる。放っておけば治るのですから、例えば私のようにネットで情報を調べ、治療法を探し、それを実践し、効果があったかどうかチェックする、というようなことをやめます。まあでもこの文章自体がネットの情報となってしまっている矛盾はありますが……そこは都合よく無視してください。治ると言うことを信じて、無視して病気を忘れる。自分自身をある意味洗脳するような感じですが、忘れていると、いつのまにか治ります。
もう一つは、病気から来るストレスではなく、日常生活のストレスです。これは自分で頑張ってください。というのも無責任ですが、人によってストレスを解消する方法は様々です。私の場合はありがちですが、
- カラオケで大声を出す
これは単に本当に発散できます。王様の耳はロバの耳方法です。大声はかなり効果的ではないかと思います。 - 楽器を弾き倒す
これもカラオケに近いですが、聴覚が調子が悪いのに音を出すのはどうかとも思いますが……充実感を得るのを優先します。 - 映画や本、音楽を楽しんで、感動する
感動する事は、心を開放する、解き放つ、浄化する、といった方向から有効じゃないでしょうか。 - 笑う
お笑い番組でも、友達や恋人と話してでも、発散できると思います。 - お酒を飲む
これは程々が良いと思いますが、私の場合は少し飲み過ぎて別のところに不具合がでてしまいそうです。
まあ上記はありがちです。人によっていろいろあるのではないでしょうか。旅行に行くとか、ドライブする、自然に触れる、様々な方法があると思います。
また、溜まっていると思われるストレスを、元から溜めない努力も必要だと思います。例えば、これは性格的な問題で難しいかもしれませんが、普段からあまり自分の意見を出さない人なら、ある程度言いたいことを言う、理不尽を感じた時の瞬発力をそのまま言葉に出す。ちょうど今日テレビを見ていたらアンガーマネジメントの話をしてまして、6秒で怒りを収める方法らしいですが、収めた怒りは自分で持ち帰って後でモヤモヤすることもあるので、言わなければならない事は収めるに言うことも必要ということらしいです。何から何まで収めている人がこの病気の人には多いのではないでしょうか。私も人のことは言えません、ほとんどのことを収めて持ち帰る人なので……この性格で何度も発症しているのかも、しれません。
要するに、突発性難聴の原因はストレス、なくせば治る
前にも書いたかもしれませんが、私は医者ではないのでいい加減なことは言えません。しかし、何度か突発性難聴になり、何度か治った経験があり、その経験からくる治し方を書いてみても良いんじゃないかと思います。これを読んで、なる程そういうことかもしれない、試してみるかと思ってもらうと非常に嬉しいです。すべてがこの方法で良くなるとは思っておらず、また病気を軽く見てはいけませんが、軽くみることで治る病気もあるんじゃないかなと思います。また、治し方はありきたりで、実は簡単なんだと言うことです。
随時思い出したことがあれば追加していこうと思います。2022/6/27